ノンセクト・ラディカル:現代の写真3@横浜美術館

 この日横浜美術館は企画展が初日+高嶺格さんのトーク、アートギャラリーもナジデダ・オレック・リャホヴァ展のオープニング+パフォーマンス、土曜日恒例のギャラリーコンサートといつになく賑やかな雰囲気。ロビーでは開館15周年企画として過去企画展のポスター展なども行われています。就職の挨拶もそこそこになぜか椅子並べを手伝いつつ、目的の高嶺さんトーク。といっても今回はかなりイレギュラーで、展示室で公開見合わせとなった映像(パフォーマンス記録)が修正バージョン、映像に出てくる「木村さん」と高嶺さんのパフォーマンスつきで上映されました。
 ご存知の方も多いとは思いますが、この映像(作品)は身体の自由が利かない障害者(木村さん)のマスターベーションを高嶺さんが手伝う「性の介護」の様子が写されたもので、作品としてこういったものが存在しうることに対する賛否両論があり、観る人(例えば関係者)によっては著しい不快感を与えるものになりうるし、単純に性器の描写についての問題などがあります。
 外郭団体として横浜市の方針に経営が左右される横浜美術館がこのような作品を「展示しようとした」ことにはある種の魂を感じます。もちろん年齢制限だとか時間制限などで「見たくない人は見ないで済む」方法を考えていたとのことですが、この日のトークにはやはり観たい人ばかりが集まっていたわけで、高嶺さんから長い解説があった後に、未修正バージョンを観たいかどうかなどの意見が観客にも求められていました。少なくとも自分はこれを見ることができてよかった。感動しました。
 展示の方は駆け足になってしまいましたが、「ノンセクト・ラディカル」って言葉は写真表現の硬質な文脈になかなか合いますね。もちろんすべての美術作品に対して適用できる切り口ではあると思いますが。霜口啓二とか好きかもしれない。