Out of space/続いてゆく線

赤レンガ倉庫エントランスにて、鯨津朝子のワーク・イン・プログレスが展示されている。作品に加えてビデオの記録上映もあり、赤レンガでの制作はもちろん原美術館うらわ美術館での制作記録も見ることができる。
これは「ゲンダイビジュツ?から!へ」と称して赤レンガ倉庫つまり横浜市芸術文化振興財団横浜トリエンナーレのプレ事業と位置づけをして展開しているシリーズだ。カタカナで「ゲンダイビジュツ」ってのが安易だし「?から!へ」なんて啓蒙的意図丸出しなネーミングが今いち気に入らないけど、パブリックな場所で手軽にワーク・イン・プログレスに触れられるのは歓迎すべきことだ。特に柱や壁をまたいでサイトへダイナミックにラインを描き廻らせる鯨津朝子の起用は、偶然赤レンガ倉庫へ飛び込んだ観客に対してアタラシイアートの魅力とは何たるかを説明するには最適だった。
作品は特定の位置から眺めると様々な場所に独立して描かれているように見えていたラインが集合して連なって見える。この特定の場所はあらかじめマーキングされている場所意外にもいくつか存在しているので、これを探し出すのが面白い。ただその場所を発見しても、見えるのはあくまで1本のラインでしかないので今いち喜びは少ないのだけど。こうなると美的には劣るかもしれないけど同じ手法を用いてサイトに何らかの図形を忍ばせるバーバラ・ヒンダルの方が発見に驚きがあり魅力的。
鯨津朝子 http://www.artandcritic.net/tokitsu/
Out of space/続いてゆく線 http://www.city.yokohama.jp/me/yaf/tokitsu_web.html