イメージを巡る冒険@横浜美術館 映像作品上映会

ラインナップは以下の通り。
・『COSMIC ZOOM』1968/ロバート・ヴェラール
・『HELIOGRAPHY』1979/山崎博
・『BLINKITY BLANK(線と色の即興詩)』1955/ノーマン・マクラレン
・『LAPIS』1966/ジェイムズ・ホイットニー
・『FRANK FILM』1973/フランク&キャロライン・モーリス
・『VIDEOVOID TRAILER』1993/デイヴィッド・レイチャー
・『GEOGRAPHY OF THE BODY(身体の地理学)』1943/ウィラード・マース
・『FRONTIER』2003/宮崎淳
・『SPACY』1981/伊藤高
・『A LITTLE PLANET〜小さな惑星〜』2002/宮崎淳

 
 展覧会もそうですが、こんなのも持っていたのねという収蔵作品による上映会。映像担当学芸員の松永さんの解説・ナビゲーションがついたちょっと変わった趣向。
 こういった上映会では作品データや簡単な解説が盛り込まれたプリントが配られるのは常套手段ですが、プリントの内容をほぼデータのみにして、各作品の上映前に「見本的な」鑑賞のポイントみたいなものがBGMと共にナレーション解説されてゆく。さらに展覧会の趣旨に合わせて、日常から非日常への旅、そして現実への回帰みたいなちょっとしたストーリー性も加えた演出が入り、観客の反応は様々でした。
 きっと普段映像作品を見ない人だったりすると素直に解説を受け入れて鑑賞のヒントにしたりすると思うんだけど、逆に見慣れてる人にとっては大きなお世話になりうるかも知れないし、時には一方的な見解を押し付ける完全なノイズとなってしまうのではないかと思います。
 実際に同行した友人はあまりこういった類の上映会に慣れてないらしくて参考になった様子だったけど、けっこう呆れ顔で笑いとばしていた人も何人かいました。勝手な印象かもしれませんが、横浜美術館の上映会ってけっこう物好きな人の割合が多いような気がしますしね。。。
 プリントで解説するのと方法が異なるだけで、やっていることはいっしょなんだけど、この問題が表出してしまうのはやはり目をそらすことのできる文章解説ではなく、読み上げることで聴覚という感覚器官に強制的に訴えかけてしまう暴力性が宿ってしまうからでしょう。あとはBGMの演出がちょっとやりすぎだった辺りに反応されてしまったのかも。いずれにしても試みとしては面白いだけに考えさせられました。
 ちなみに『FRONTIER』宮崎淳は、本年度カンヌ国際映画祭の「若い視点」賞を受賞したということで図らずも凱旋上映。是枝裕和作品の影に埋もれてあまり話題にならなかったので僕も最近まで知りませんでしたが。。。本人登場で独特なカメラワークが実は48fps撮影素材を24fpsにスローモーション可して作り出した効果であることなどが語られました。確かになめらかなフレーミングが印象的な作品を撮られる方です。けっこう好き。