Living Togheter is Easy

H-WORKS2004-03-18

生憎の天候でしたが久しぶりに水戸芸術館まで行ってきました。タイトルは「共生はたやすい」と訳せますが、そこにアイロニーとして含まれている共生の難しさが立ち現れている作品ばかり。
圧巻だったのは高嶺さんの《A Big Blow-Job》。遮光され真っ暗な空間の中を小さな光がうごめき、敷き詰められた泥の地面とそこに散らばった家具の残骸のようなものなどを照らしてゆく。光が追うのは乾燥した泥の地面に刻まれた文章。これは高嶺さんが出身したIAMAS情報科学芸術大学大学院)吉岡さんの『新・共通感覚論』http://www.nk.rim.or.jp/~hyshk/の抜粋。これは正にこの展覧会が語りたかったことではないだろうか。そしてこの力強いメッセージをあえて解読しづらい形で見せていた点が、展覧会のテーマを実によく捉えた高嶺格の表現である。
あと良かったのは、森林伐採により絶滅した動物をその化身とも言えるシュレッド・ペーパーにより再生させたもとみやかおる《Telling Tasmanian Tales》や戦争映画のビデオテープを編んで不完全な人間の身体や完全なテディ・ベアを制作したフィナオ・ホール《瘢痕組織》など。〈こもれび展〉から始まったボランティアのギャラリーライターによるノートも作品の多角的な見方を提供してくれます。