NOTES/ニブロール@シアタートラム

 越後妻有アートトリエンナーレの会期中に、松代ステージで見た「NO−TO」が忘れられずに行ってきました。立ち見も出る満員の中、席は悪いながらになんとか当日券を確保。下手側3列目と役者はよく見えるけれども、映像/照明効果は確かめにくい位置。正確にはタイトルも異なり、構成/演出も違う作品ですが、やはり比較しながら楽しみます。
 松代会場での映像効果は劇的で、広いステージの下手1面とホリゾント位置の2面に天から役者頭上くらいまでの高さで横長のスクリーンが吊られ、2面が独立したり同期したり照明と連動した演出がなされていました。さらに天井にも畳2つ分くらいの大きさのパネルがいくつか地面と平行に吊られていて、舞台全体を覆うような映像効果も可能にしていて、役者でなく映像ばかりに見とれてるうちに終わってしまったような印象。(というのは言いすぎですが)MVRDVによる宙に浮いたような建築の1階(地上)部分がステージ/客席だったのですが、四方がほとんど開放された半屋外で、背後にうっすらと田んぼが見えていた感じもUFOだとかミステリーサークルだとかをネタにした内容とリンクしていて面白かった。
 一方でシアタートラムは屋内であり、広さもおそらく半分ほど。映像に関しては天井のパネルがなく下手とホリゾントの2面になり控えめに。前半こそほとんど同じでしたが全体の構成も大きく変わっていて、衣装替えの数が増えていたり、エレクトロニカテクノ系中心の選曲だったのがもっと楽曲らしいものが使われたり。(さすがに「カノン」はいかがかなと思いましたが)役者(ダンサー)・音響・照明・映像のバランスが良くなっていたという言い方もあると思います。でも個人的には妻有版の方が好きだったかな。
 いずれにしても、ニブロールは映像の使い方ひとつをとってもアクションひとつをとってもアイデアに富んだシーンの連続で楽しめます。変に抽象的ではなくて、でもそれぞれの要素の解釈はこちらに委ねられているのも見やすい。例えば役者(ダンサー)はごく稀にはっきりと台詞を口にするのですが、全体の中で特に意味をもっていたりするわけではない。役者同士が強く何度も抱きつくアクションも、その力強さとは裏腹にあっさりと次のシーンへ移行していったりする。そう、今回は前方の席だったので役者の動きがよく見えたのはよかったです。